余談ながら…


↑千秋楽を迎え、調子に乗っている出演者たち

どうもごぶさたいたしております。「HAPP演劇企画」責任者の和泉でございます。
公演千秋楽の日から、どうもじくじくと腹痛が続きます。風邪を治すためにナロンエース10錠を服用したことが脳裏にちらちらと浮かびますが、まぁそれが原因でしょう。
この世に生を受けてから肝硬変で逝去するまでの57年間、全生涯を通して腹痛と下痢に悩まされ続けた、かの楽聖ベートーヴェンのように、この腹痛がしばらく続くのかと思うと、うんざりしてしまいます。

さて、ベートーヴェンといえば。「シェーンブルンの記憶」の余談をベートーヴェンに絡めてひとつ。
今作「シェーンブルンの記憶」をご覧になった方は、まだご記憶に新しいかと思いますが、劇中終盤、ヨハン大公とミリーが、最初にシェーンブルン宮殿で出会った回想シーンがありましたよね。明石大佐が「ヨハン・サルバドール殿下、あなたは本当に死んでしまったのか?」云々と言った後です。
あのシーンでは、パーティーのさなかといったふうな華やかなクラシック音楽が流れていたかと思いますが、あの曲はベートーヴェンがその生涯で書き上げた膨大な作品群の中でも異例のピアノ・トリオ、ピアノ三重奏曲第7番変ロ長調作品97、通称「大公」と呼ばれる曲です。

名前の由来は、ベートーヴェンのパトロンであり、弟子であり、また唯一無二の親友であったルドルフ大公に捧げた曲であるため。ルドルフ大公は高級貴族でありながら楽器演奏に造詣が深く、殊にピアノ演奏はプロ並だったと言われる人物です。
当時すでに、ベートーヴェンはほぼ完全に失聴しており、日々激しい腹痛と下痢に悩まされていたため、その性格はたいへん気難しく、乱暴だったといいます。この時期、彼の友人は目立って減っている。しかしルドルフ大公は、そんな彼を慈しみ、また深く尊敬していました。
「大公トリオ」。この小品には、そんな静かに情熱的なあたたかさがあるように思います。

さらに余談ですが、村上春樹氏のベストセラー小説『海辺のカフカ』において、この曲をこよなく愛する喫茶店の店主が出てきます。

「素晴らしい曲です。聞き飽きるということがありません。ベートーヴェンの書いたピアノ・トリオの中ではもっとも偉大な、気品のある作品です。ベートーヴェンは40歳のときにこの作品を書きあげ、これを最後にピアノ・トリオには二度と手をつけませんでした。彼はおそらくこの作品によって、自分はこの様式の頂点をきわめたと感じたのでしょう」(『海辺のカフカ』下巻より)

作中に登場するのは百万ドル・トリオによる演奏で、今作の音響で使われた演奏とは別のものですが、ご参考までに。

ちなみに(すみません、余談はまだ続きます)、昨年HAPP演劇企画「フォルモサ!」においても、この曲の第3楽章を使いました。「フォルモサ!」終盤、沈竜寧(鈴木俊伍)と胡瑛莉(兒玉圭織)が、沈みゆくジャンク船の上で、最後の別れを交わすシーンです。つっても、さっぱりですね。以下のシーンです。↓


竜寧 瑛莉、おれのよこしまな心に、気づいていたか?
瑛莉 どうして気づくことがあろう? 私だけ、なぁんにも知らなかった
竜寧 貴様だけ…。やはり慶妃はお察しだったか?
瑛莉 ああ。今考えると、私をこの船に乗せたこと、それこそが慶妃のご意志だったようだ
竜寧 おれの船がいままさに沈んでいるのは、陛下の思し召しだと言うのか?
瑛莉 (にっと笑い)そうとも言えるな
竜寧 しかし分からない。あれほど慕っていた貴様を、慶妃は捨て駒にしたということになる。船を沈めるための航海に、貴様を乗せるなどとは…
瑛莉 あの方は、冷たいお方だ。しかし、必ずけじめはつける。あの方は、そういうお人だ。私の最後のご奉仕が、むなしいものになっていなければよいが…
竜寧 最後まで、あの方、あの方…。瑛莉、そういう貴様自身は、どうするのだ?
瑛莉 私? 私はこの海というものが大いに気に入った。最後まで、海を感じていたい。船長、この船で最後に沈むところはどこだろう?
竜寧 おそらく、船尾のマストだ。舳先はすでに没しかかっている
瑛莉 ではそこへ行こう。船長、あなたは?
竜寧 おれは生きる。ふだん鍛えた水練で、陸まで泳ぎ着いて見せようぞ
瑛莉 ふふふ。聞くだけ無駄だったようだ
竜寧 瑛莉、おれと一緒に来るか?
瑛莉 (静かに首を振る)時代がもはや私を欲していない。古い人間が新しい時代で生きても、疲れるだけだ
竜寧 そうか。漢族の王朝、大明帝国…。いい夢を見させてもらった
瑛莉 死ぬなよ
竜寧 ははは。船乗りは容易く死なないものだ。じゃあな

(竜寧、軽快に下手へ去る。瑛莉はそれを見て小さく微笑み、奥にはける)


というあたりです。それにしても、去年も今年も、大して変わってないですね。国が違うだけで。

13歳の私が広島県廿日市市立図書館でこのCDを借りてコピーし、21歳の私が神奈川県横浜市の劇場でかけるというのも、なんだか不思議な話です。
ながながと拙筆の余談につきあっていただき、どうもありがとうございました。

# by schoenbrunn_happ | 2008-11-05 18:30

結びにかえて

たいへん遅ればせながら、「シェーンブルンの記憶」の公演終了をご報告申し上げます。
HAPP演劇企画「シェーンブルンの記憶~The recollection of Schonbrunn~」は、11月1日(土)の千秋楽をもちまして、無事終演いたしました。
公演期間中は、220名を超えるお客さまにお越しくださり、たいへんご好評のうちに幕を下ろすことができました。これらはひとえに、ご来場くださった皆さまのご声援の賜物であり、ここに改めて厚く御礼申し上げるしだいでございます。

わたくしども「HAPP演劇企画」は、昨年同時期より「フォルモサ!」そして今作「シェーンブルンの記憶」と、計2回の演劇公演を日吉来往舎にて行なってまいりましたが、昨年より引き続き観劇くださっているお客さまが多くいらっしゃったことは、真に感謝に耐えません。
昨年よりさらに成長した我々と、新しく企画に参加してくれたメンバーらの、最高のパフォーマンスを皆さまにお見せできたのではないかと、一同自負しております。

また、事前に再三のアナウンスメントと対策をおこなってまいりましたものの、ご観劇中は劇場がたいへん冷え込み、お客さまにはご迷惑をおかけいたしました。この場にて、深くお詫び申し上げます。

さて、このたび公演アンケートにて「来年もまた見に行きたい」等々の実にうれしいコメントを多く頂きました。が、たいへん残念なことながら、「HAPP演劇企画」として来往舎にて皆さんにお会いするのは、本年が最後になろうかと思います。今回の自慢すべきメンバーらと再び芝居をすることも金輪際ございません。
ですが、わが「HAPP演劇企画」の母体組織たる「慶應義塾演劇研究会」では、今後も定期公演を行なってゆきます。どうぞ、今後とも末永くご高配を賜りますよう、よろしくお願い申し上げます。

たいへん気のはやいことながら、今月末、11月28日からは慶應義塾演劇研究会11月公演「足元のはらいそ」が慶応大学日吉キャンパス塾生会館地下アトリエ合Cにて上演されます。
上記公演は、本企画にて巧みな照明パフォーマンスを魅せてくれた慶応2年生手塚君のプロデュースによる公演です。また、本企画においてはスタッフとして奮闘してくれたわが後輩諸君が多数出演する予定でございます。
まだ時期尚早でありますので、近くなりましたらインターネット等を通して、皆さまにご案内さしあげたいと思います。どうぞこちらにも足をお運びください。

相変わらずの乱筆、蛙鳴蝉噪の悪筆にはどうぞご容赦ください。
本公演の企画が立ち上がりましたのは、じつに新緑鮮やかな初夏のころでありました。いまやあの緑たちが早や色づき始めていることに、この数ヶ月の短さを改めて感嘆せずにいられません。
朝晩急速に冷え込んでまいりました今日この頃、どうぞ皆さま、健やかにお過ごしくださいませ。いずれ、劇場でお会いいたしましょう。


製作総指揮 和泉 伸吾


↑千秋楽を迎え、キメまくっている出演者たち

# by schoenbrunn_happ | 2008-11-04 16:29

グリとグラのグラ。

皆さんこんばんは、またまた辻晃子です。
公演はゲネプロ、初日、2日目が無事に終わり、明日はとうとう楽日です。
今日は役者陣の写真を掲載したいと思います。
(もっと早くからやれば良かった)




デュルクハイム伯爵役・高市正行さん。
さすがの迫力と存在感です。



久我原大佐役・小濱弘行さん(左)と、
ガルゾン上院議員役・相羽崇史さん。
下手はけ場で準備中にパシャリ。



ケッテール監察官役・渡部一志さん。
眼鏡と妖怪アンテナがチャームポイント。
段差に気を付けて!



秘書役・西村沙緒理さん(右)と、
カノジョ役・辻晃子(左)。
いつでもハイテンションミリー!
ありがとうございまウィッシュ!



ニート役・大塚展生さん。
見ての通りのイケメンです(笑)。



メイド役・兒玉圭織さん。
め、めいどさんだ…ハマりすぎですよね!



ラリッシュ男爵役・鈴木俊伍さん。
首にネギ巻いて寝て下さい!

こんな感じの愉快な仲間でお送りしております。
老若男女集まり和気あいあいとしております。
明日も楽しくいきましょー!
たくさんのご来場お待ちしております♪



おまけ


制作・小野彩香。
31日が誕生日でした。
19歳おめでとう。


カノジョ役  辻 晃子

# by schoenbrunn_happ | 2008-11-01 03:33

御予約について

御予約は規定の数に達した為、終了とさせて頂きました。有難い限りです。
当日いらしたお客様の為に、まだ席を御用意しておりますので、観劇を御希望の方はそちらを御利用ください。
場内、満席になると入場できなくなってしまうので、お早目のお越しをお勧め致します。

そして・・・、本日はゲネです!
明日の来る本番に向けて、役者・音楽・スタッフ一同、気合を入れていきます!

制作 辻奈緒理

# by schoenbrunn_happ | 2008-10-29 11:59 | お知らせ

「D」を見てきました

まいどー、和泉ですっ。
昨日から来往舎イベントテラスにて行なわれている、HAPP企画「Diverta!! Extreme stage juggling show」を見てきました。

…どうも、横文字だと読む気がしませんね。ジャグリングの企画です。
「The recollection of Schönbrunn」←いかがでしょう? 読む気しませんよね。

このHAPP企画「D」は(さっそく略しちゃいましたけど)、われわれのHAPP演劇企画「シェーンブルンの記憶」と同じ趣旨で行なわれているパフォーマンス・イベントです。今日は14時から。もうそろそろですね。こんな悪文乱筆読まずに、はやく見に行ってくださいっ!



「 D 」



さて。皆さん存分にご鑑賞なさったあとに、この稿を読まれていることでしょう。いかがでしたか、「D」。
いやぁ、すごいですね。言葉は悪いですが(私は言葉の選び方が悪いことでいっぱしの名が通っていますが)、

あんなガラクタよく振りまわすよ

と思いますね。
しかし、そのガラクタがあたかも生命を宿したかのごとく、にわかに生き生きと動きだす。宙を舞う造形物は、すでに地面に捨て置かれていた惨めなガラクタにあらず。なにか巨大な、しかし静かに叙述的なメッセージでもって、観衆の胸を熱くするものが、たしかにあのガラクタには潜んでいる。それがいま、はち切れんばかりに溢れだす。
むろん、それらの魅力を十二分に引き出すパフォーマーの卓越した技術と感性にも、無条件に脱帽せざるを得ない。ただ拍手と手拍子で光り輝く彼らを応援するのみである。
ボールしかり、変な棒しかり、変なお椀をふたつひっつけたみたいなやつしかり…(名前知らないけど)。

上記がジャグリング鑑賞後の感想として相応しいか否かを私は知りませんが、思いつくままに蛙鳴蝉噪つらつら書き連ねてみました。

で、来週はうちですよ。HAPP演劇企画「シェーンブルンの記憶」。ジャグリングとは別種のパフォーマンスによって、さらなる感動を皆さんにお届けします。

どうぞお楽しみにー。


製作総指揮 和泉 伸吾

# by schoenbrunn_happ | 2008-10-25 13:57

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